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OWNEDMEDIA オフィス・事務所移転時の
原状回復費削減ノウハウ

2021.5.31

2020年4月民法改正によるオフィスの原状回復について

民放改正


2017年5月に成立した「民法の一部を改正する法律」が2020年4月に施行され、賃貸借契約に関する民法のルールが変わりました。

今回の民法改正は200項目もあるため賃貸借契約に関係する部分、特に原状回復を中心にわかりやすくお伝えさせていただきます。

どの項目も賃貸借契約に関係してきますので、最後までお付き合いください。

経過処置で改正前の契約は改正前の民法が適用

まず、大切なのは契約日によって適応される民法が異なる点です。

2020年4月1日以前に契約した賃貸借契約は、改正前の民法が適応されます。

例えば、2017年にテナント物件を5年間、借りる契約をし、2022年に契約を更新した場合、契約更新前は改正前の民法が適応になり、契約更新後は改正後の民法が適応になります。

同じように2017年にテナント物件を5年間の賃貸借契約を行い、契約終了である2022年に退去した場合、改正前の民法が適応となります。

民法改正で原状回復について明記された

民放改正

改正前の民法において、原状回復について具体的な内容の記載はありませんでした。

改正された民法には次のように原状回復について明記されています。

民法第621条

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

この改定は、民法が改正される前に国土交通省で策定された「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を条文化したといえます。

ただし、ガイドラインでは一般の住居用賃貸物件に適応されるものとされていましたが、改正民法では住居、テナント、店舗の区別なく適応されるようになった点に注意しましょう。

また、この原状回復についての条文は任意規定と考えられており、当事者間の契約内容により変更が可能とされています。

事業用賃貸借契約書や特約、定期建物賃貸借契約で「入居者の費用により新設又は付加した造作、設備等及び入居者所有の備品等を入居者の費用負担により撤去し、変更箇所及び汚損、損傷個所を修復し、壁・天井・床仕上げ材の塗装、貼替を別途定める仕様のとおり行った上で本物件を明け渡す」というような内容にすることで、入居者の負担で入居時点と同じ状態まで原状回復する義務が発生します。

賃貸借契約書の内容が以前より重要になった

民法改正で原状回復について明記されたため、賃貸借契約書や特約の内容をしっかりと決める必要があります。

原状回復について曖昧な表現の契約書であった場合、オフィスや店舗であったとしても通常損耗部分(壁紙の劣化など)がビルオーナーによる負担で原状回復を行うことになります。

一方で、民法改正前は事務所や店舗の原状回復は、入居時の状態に借主(入居している企業)の負担で戻すことが一般的でしたので、トラブルになりやすいと考えられます。

そこで大切になるのが、契約更新時、入居時に原状回復の範囲や程度をしっかりと賃貸借契約書や特約に明記することです。文言だけではなく図面や写真などを用いる他、壁紙の仕様(グレード)、壁紙が製造中止になったときの代替方法など細かい点まで明確にしておくのが望ましいと考えられます。

原状回復以外の賃貸借に関する民法改正

update

2020年4月に施行された改正民法は、原状回復以外にも下記の点が変更になっています。

保証金・敷金の返却

改正前の民法には、保証金や敷金、返還請求権の発生について規定はありませんでしたが、改正により敷金が定義され、返還についてのルールも定められました。

賃貸借契約の債務保証

改正民法により、限度額の記載されていない個人の保証は無効となりました。

事業用賃貸借契約書の保証人に会社の代表が個人としてなった場合、保証の上限額が契約書に記載されていないと、保証が無効になるということです。

また、保証人が破産手続開始をしたり、死亡したりしたときなど、保証が対象外になることも定められました。

法人の場合は別ですので、注意しましょう。

修繕のルール

ビルオーナーの資産である空調機器が壊れたことを通知したのに、なかなか修理されず非常に困ったため、入居者が空調機器を修繕した場合、賃貸人であるビルオーナーから責任を追及されることがないと明記されました。

譲渡されたときのルール

賃貸借契約中に建物が売買され、ビルオーナーが変わることは珍しくありません。

改正前の民法では譲渡されたときの規定が設けられていませんでした。

改正後は不動産の所有権移転登記をしたら、新しいビルオーナーから賃料を請求できることになり、登記前には賃料の請求ができない(以前のビルオーナーへ支払)ことになりました。

原状回復をトラブルなくスマートに行おう

2020年に改正された民法の影響もあり、以前と同じ事業用賃貸借契約書は使えなくなりました。

事務所移転や契約更新の際は、以前と同じ契約書や特約のままにすると原状回復や敷金、保証が無効になる可能性がありますから、十分注意しましょう。

また、原状回復について詳細に記載しなければならなくなったこともあり、契約書の確認作業に不動産の知識も必要になるなど、負担が以前よりも増しています。

数年前のオフィス移転より負担が増している中、通常業務を行いながら移転プロジェクトを進めていくのは、困難になりつつあります。

この困難を乗り越え、スムーズに移転プロジェクトを進めるのなら、移転や原状回復のコンサルに入ってもらい、漏れがないか、進行状況などを管理しつつ進めるのがスマートといえます。

JLAでは、原状回復のコンサルの他、移転プロジェクト全体のコンサル、賃料減額コンサルなど不動産に関するコンサルティングを行っております。スマートに原状回復やオフィス・店舗を移転させるためにも、ぜひ一度ご相談ください。

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