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内装工事の耐用年数と減価償却の注意点【賃貸/自社物件】

内装工事の耐用年数と減価償却の注意点【賃貸/自社物件】

賃貸オフィス・テナント・店舗に入居する際に内装工事を行い、退去する際は原状回復工事を行うのが一般的です。

これら内装工事の費用は固定資産、原状回復工事の費用は修繕費として会計処理します。

当記事では内装工事の勘定科目や耐用年数や減価償却について詳しくご説明いたします。正しく処理をして節税をしていきましょう。

なお、自社物件と賃貸物件で会計処理が異なるため、ご注意ください。

内装工事費は全部まとめて計上しない

一般的に内装工事費用を全部まとめて「固定資産」として計上しません。建物と建物附属設備に分けて計上します。

まず始めに、内装工事の見積書や請求書を確認し「建物附属設備」に入るものと入らないものに分けましょう。

なお、木造の場合は建物附属設備と建物をまとめて、建物の耐用年数を適応することができます。

個別に計上する建物附属設備の例

詳細については、国税庁の耐用年数の適用等に関する取扱通達 第2章耐用年数関係各論 第2節建物附属設備をご確認ください。

電気工事は電気設備でほぼ処理できる

国税庁の「耐用年数の適用等に関する取扱通達」によると、賃貸オフィスや店舗、物件における電気工事に含まれるものは、ほぼ電気設備ですので「建物附属設備」として処理します。

ただし、工場の動力用配線や受配電設備は建物附属設備には含まれません。工場の一角をオフィスとして使用されている場合はご注意ください。

なお、内装工事と電気工事は建設業からすると別の工事なのですが、内装工事としてまとめて考えて認識している方が多いです。

見積書や請求書を確認したとき、混乱や漏れがないようにご注意ください。

ちなみに、家庭で使われているような取り外しが簡単にできる照明器具は、購入や設置方法などにより経費である「消耗品」で処理できることもあります。また、家庭用のエアコンであれば「器具及び備品」での計上が可能な場合もあります。

パソコンやモニター、机などの什器の勘定科目は「器具及び備品」

パソコンやモニター、机などは移動できますので、「消耗品」や「器具及び備品」で処理するのが一般的です。

例えば、パソコンやモニター(耐用年数表では電子計算機)の耐用年数は4年、サーバーは5年。金属製の机や椅子、キャビネットの耐用年数は15年、木製のものは8年です。

床工事や建具工事、クロス工事など内部造作はまとめて計上する

個別に計上する建物附属設備や什器などを分けた残りが、床工事や建具工事、クロス工事などの内部造作工事費用です。

内部造作は建物と一体となっていることから、一括して「建物」に計上し減価償却します。

詳しくは後半でお伝えしますが、賃貸と自社物件で耐用年数が異なってきますので、ご注意ください。

耐用年数表で確認

区分がわかったら耐用年数表で耐用年数を調べるのですが、改定されることもあります。

最新版の耐用年数表を国税庁のホームページで確認したり、所轄の税務署に問い合わせたりするようにしましょう。

自社所有建物と賃貸物件では内装工事の耐用年数は異なる

まず、「建物附属設備」「器具及び備品」の耐用年数は、自社所有の建物(自社ビル)であっても賃貸物件であっても同じ年数です。最新版の耐用年数表を見てご確認ください。

次に、クロスや床、造作壁など「建物」として処理する資産は、自社所有の建物(自社ビル)と賃貸テナント物件では耐用年数が異なります。

賃貸物件は国税庁からの耐用年数の通達が出ている

国税庁から「他人の建物に対する造作の耐用年数」という通達が出ています。

「賃貸なら、賃貸している建物の耐用年数と造作した(内装工事)内容に応じて、合理的な耐用年数を見積もる」とされています。

自社所有ビルなら、内部造作をしたら建物の耐用年数と同じ年数(鉄筋コンクリートで事務所用:50年、木骨モルタル造で事務所用:22年)とします。

賃貸なら、合理的な耐用年数にします。また、下記の条件にすべて当てはまる場合は、賃借期間を耐用年数にすることもできます。

賃貸期間を更新できる契約であることが多いので、合理的な耐用年数1015年にすることが一般的です

自社所有の建物の場合の耐用年数

自社所有の建物の内装工事を行った場合、建物と同じ耐用年数で処理します。

建物の構造や用途によって、耐用年数が異なりますので、確認し間違いのないように処理しましょう。

自社所有で中古建物の場合の耐用年数

中古で建物を購入した場合、法定耐用年数ではなく使用可能期間で耐用年数を見積もります。

・法定耐用年数を超えたもの

法定耐用年数×20%=耐用年数

・法定耐用年数を超えていないもの

(法定耐用年数―経過年数)+(経過年数×20%)=耐用年数

ただし、同じものを新品で購入したときよりも、半値以下になってない場合は法定耐用年数を使用します。

また、中古物件を購入し内装工事(リフォーム)を行った場合、内装工事費用が建物取得金額の50%を超えると、法定耐用年数を使用することになります。

改修工事は「修繕費」の勘定科目で処理するの?

改修工事を行ったときは、次のフローで処理します。

もちろん、このフローでは判断が難しいケースもあります。判断に迷う場合は、必ず税理士に相談してから処理するようにしましょう。

原状回復工事は「修繕費」「固定資産除却損」で処理

賃貸テナント物件から退去する際に行う原状回復工事において、固定資産に入っていたものは「固定資産除却損」で処理し、残りを「修繕費」で処理します。

税務調査で廃棄したことを確認できる書面が必要になることがありますので、固定資産に入っていたものを廃棄するときは、必ず廃棄証明書をもらうようにしましょう。

まとめ

内装工事の耐用年数についてお伝えしました。複雑でわかりにくい部分があるかと思います。

もし不明な点があった場合は、税理士に相談してから処理するようにしましょう。

株式会社JLAでは、原状回復工事や内装工事(B工事)の査定・代理交渉などを承っております。ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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